5ちゃんねる ★スマホ版★ ■掲示板に戻る■ 全部 1- 最新50  

■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています

夢枕獏の文体のガイドライン

1 :水先案名無い人:2005/06/08(水) 23:51:04 ID:HdWJfha90
すぐにスレを立てた。
拳。
拳。
肘。
足。
肘。
踵。
指。
拳。
みごとな攻撃であった。

関連スレ
夢枕獏×板垣恵介【餓狼伝】23 板垣シェーダ
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/comic/1115364612/l50
【放置プレイ】夢枕獏 巻之五【続行中】
http://book3.2ch.net/test/read.cgi/magazin/1106812422/l50

282 :水先案名無い人:2005/06/26(日) 01:40:47 ID:gpskQAgf0
ごうごうと風鳴りがひどい。
白面と打ち合ったうしおは、そのまま重力に任せて落ちていった。
まともな神経であれば、耳を塞いでいただろう。
しかし、うしおの目には、燃え盛る島しか映らない。
白面の仕業であった。

麻子……!あそこには、麻子がいた!

白面が、にぃっ、と笑った気がした。
見えてはいない。

おまえの――

おまえの父親も、あの島にいたのだよ――

どくり、と額から血が流れる。
意識は失っていない。
闘っているつもりのまま、うしおは海へ落ちていった。

283 :水先案名無い人:2005/06/26(日) 01:41:54 ID:gpskQAgf0
「うしお!」
須磨子は動けない。今、白面を縛り付ける結界を解くわけにはいかぬ。
「うしお!!」
私の責任だ。
落ちていくうしおを座して見つめながら、須磨子は悔いていた。

私が、あの子の緊張の糸を切ってしまった――
――会うべきではなかったか。

「くくく…悔しかろうなぁ、須磨子よ……」
白面が、言った。
蠢く、と言ったほうが正しいかもしれぬ。
どこまでも暗く、耳障りな音である。
「おまえのつれあいも島もろとも吹き飛び、息子もその程度だァ……だから、諦めて――」
白面が何を言いたいのか、須磨子には分かっていた。
緊張が、肉の中に張り詰める。
「この未練がましい結界を、解きな……」
「気付いていたのですね。私達が、今もお前を結果で包んでいるのを」
「私達が……だと? お前にもう、そんな力などあるものかよ――」
白面の言う通りである。
白面を縛り付けているのは、もはや須磨子ではない。
そこまで見ぬかれていたか。
ならば――
「出て来い新参。須磨子を溶かすぞ!!」
ならば、隠れている必要は――

轟。
岩が、崩れた。
須磨子の座していた岩である。
それが、内部から、崩れた。
正しくは、岩の内部に居た者が、外に出るために岩を突き抜けてきたのだ。
崩れた岩から飛び出したのは、ジエメイと新参――井上真由子であった。

284 :水先案名無い人:2005/06/26(日) 01:46:55 ID:gpskQAgf0
腕が、白い。
脚も、白い。
胴も、
首も、
唇も、
髪すらも、白い。

それが、井上真由子という女であった。
白面言うところの、新参。
新しいお役目の女である。
「あ、あなた、許さないんだから……」
真由子が、言った。
何かの力が、ぐっと岩山の中に満ちた。
ふいに、岩山の中に、新たに重い山が出現したかのようであった。

「ジエメイと……次ぎのお役目か。くく、気付きもするさ。
おまえのような力がなけりゃ、弱った須磨子が結界を張りながら息子に会うなんて、できねえ話だ……」
白面は、目を閉じる。
目を閉じて、結界が強まるのを肌で感じているのだ。
若いとは、これほど無邪気に力を使えるということなのかと、新しい女の味を覚えているのだ。
先ほどまでの結界とは、まるで別物だ。
だが、どうということはない。
これほど、強い結界さえ、自分にはどうということはない。
たまらぬ心地よさが、白面の者を襲う。
これは、快楽である。
なんと心地よいのか。
「ぬぅ……」
知らず、声が漏れる。
太い唇が、笑みを留めていた。


285 :水先案名無い人:2005/06/26(日) 01:56:28 ID:gpskQAgf0
「あなた、ひどい……ひどいわ――」
これは、真由子の独白である。
「あなた、ひどいわ、島を焼いて、悪いことをしてない大勢の人を焼いて……」
真由子は泣きそうになった。
顔をくしゃくしゃにして、泣いてしまいたかった。
強い力を持て余している分、感情のタガがはずれかけているのだ。
ああ、うしおくん……
真由子が呟く。
「ほう――」
ざざ、
と、白面の毛が波立つ。
意外であった。
「この娘、記憶が戻ったか――」
せっかく、忘れさせてやっていたものを。
気に入らぬ話である。
誰の仕業かは、分かっている。
人間には、到底できぬ真似事だ。
ジエメイに視線を送る。
一人の頭の中の婢妖なら、私の力でも倒せるのだと、ジエメイの笑みが言う。
だが、まだ――
「須磨子」
「初代様……」
「今までよく絶えました」
まだ、終わりではない。
真由子の記憶が戻った。
ただそれだけのことである。
「いよいよ、これからですよ――二人とも」
「はい」
「はい」
二人で答えた。

398 KB
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています

★スマホ版★ 掲示板に戻る 全部 前100 次100 最新50

read.cgi ver 05.04.00 2017/10/04 Walang Kapalit ★
FOX ★ DSO(Dynamic Shared Object)